リコールのお作法
リコールとは、
「あなたは不適任です」という烙印押しであり、解職請求のことです。
しかし、リコール署名は、「はじめます!」で
いきなりはじまるわけではなくて、まず鹿児島県の選管(=選挙管理委員会)に、こういう理由でリコール請求をしたい、という主旨を1000文字くらいで文書で提出します。
あと、請求するための代表者を立てます。これは、何人でも大丈夫です。代表者は、要所要所で印鑑をついたり、決めごとはこまごまとあります。代表者は県内どこでも署名を集めることができます。
→ なので、どんどん代表者にリッコーホしてください(代表者立候補の申し込みは、野口英一郎ウェブサイトお問合せから。)
その趣意書と、代表者詳細の文書を、県の選管に提出すると、そこで2週間弱の審査がはじまります。
この人は本当に鹿児島県の有権者なのか、とか申請書類に書かれてるところにお住まいなのか、本人なのか、とかそういう審査です。
場合によっては1週間もかからないことも考えられますけども、
その審査が済んだ、という日から、2ヶ月間。
鹿児島県全体で、署名を集めることができ、
県内の有権者の一定数以上(計算式は下部)、
今回は、27万4902人の「自筆署名と、拇印か印鑑」を集めれば、それは議会の議決などではなくて、県民が県民投票を求めている、ということが自動的に成立します。
その後、署名が本物なのか?という
審査期間が20日間ほど行われます。
その間、署名は誰でも見られるという縦覧期間もあり、
審査をクリアすれば、県民投票で、伊藤知事を解職するかどうか、みなさんで投票しましょう、ということになります。
その結果、もう伊藤知事は解職しましょう、という賛成が過半数になれば、知事は自動失職するという仕組みです。
だから少しスパンは長いですね。
リコールについて
(選挙権のあるもの(有権者)の3分の1以上(40万を超えるときは、40万を超える数の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上、80万を超えるときは、80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上)の署名を集めて選挙管理委員会に請求できる(地方自治法第76条第1項及び第81条第1項)。 – wikipedia より転載
計算式の説明)
鹿児島県の2013年7/21現在の有権者数が139万4995人。
わかりづらいけど、
目安として、(有権者数から 80万を引いて8で割ったもの)+ 20万、ということ。
74374 + 200000 = 274374
有権者数は日々変動するので、およそ、27万5千人、となる。
今回は、有権者数の20%ほど。)
これからその手続きをはじめる、ということが決まったところです。
鹿児島県議会の初日、9月10日頃には県の選管に対する最初の届け出をすることになると思います。
すると、8月23日に、伊藤知事の定例記者会見がありました。
その日の会見で、
「体育館のことは、世論の反応が厳しい状況なので凍結をしたい」
ということを表明されました。
私は一連において、
伊藤知事の思いつきのような事業の出し方そのものに率直な疑問を持ち、
水面下に存在する政治工作に大きな違和感を持ちました。
当然予測されるような世論の動きがこの間あったわけで(伊藤知事は予測されなかったかもしれませんが)、事業を出してみて、反対が起きるから引っ込めます、凍結します、ではいけないと思うんです。
鹿児島はみんなの街なのだから、そもそも事業を出す時点において、関係者である、市、市民、行政に対して、
「ドルフィンポートの更新時期が来るけども、どうするか話し合いましょう」というように進めていれば、こんな反対も起きなかったと思うんです。
体育館を作るにしても、それを一番使うのは一過性の国体ではなくて、そこに根ざす街の人が一番長く使うのだから、
そういう道理を理解しているさまを、知事がきちんと表現している必要があると思うんです。
まあ、そもそも体育館の土地は、与次郎ヶ浜に決まっていたわけですし。
そこからの変更理由の説明もなく、
いきなりドカンと打ち出す姿勢。
そんな知事が一旦、大規模事業を凍結したとしても、
そもそも伊藤祐一郎さんが知事として不適格なのでは、という思いは変わりません。
ちなみに、リコールというのは、
議員や、市町村長のレベルではそこまで珍しくはないですが、
都道府県知事レベルでは、過去30年、国内では1例もないようです。
先日、伊藤知事の会見で、
「リコールは過去50年間の中で1度しかない、もちろんそれは成功しなかった」
ということを、伊藤知事もご自分でお調べになられて答えていました。
過去50年においても、知事に対する解職請求というのは1回しかなされていない。
それくらい異常な状況が、今の鹿児島においてはある、ということになります。
また、リコールは、知事の行動のひとつをとって行われたものではなくて、今までの不満が積もり積もって、たまりかねての動きであります。
なるべくしてなった、という感が私にはあり、
特に知事のひとつの行動をとって異常、というようには私はあまり思いません。
ドルフィンポート体育館に関しては、私としては、
凍結だけではいつでも解凍なさるので、白紙撤回してほしい。
そもそも、この景観の良い、港湾地区の緑地帯で何をしていきたいのか。
県民がどう使いたいか、どうしたいかをきちんと議論することが、
末永い意味で、ムダも少なく、ああこれは良い整備でしたね、と言える事業になると思うんです。
そうでないと、人工島と呼ばれる、錦江湾の大規模な埋め立て事業と、同じ流れになるおそれがあります。
人工島問題では、知事選一期目の選挙で伊藤知事は、
「人工島は、財政的にも環境的にも無駄遣いとみなさん言われるので、凍結しましょう」という発言をなさったんですけども、
当選なさると、あっさりと凍結を解凍するための段取りをすすめました。結果、今でもその大規模公共事業は進んでいます。
その二の舞になりかねない、と
私はこの体育館問題を思っています。
野口英一郎
鹿児島市議。2000年に 28歳で初当選。以来4期当選、現在にいたる。
なかなかわかりづらい政治の話を、議員だからこそ知りうる内情も混ぜて、わかりやすく解説します。
趣味は、水泳と読書と料理(片付けは苦手)。
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